2013-01-01から1年間の記事一覧

日本の経済報道はいったい何がどうおかしいのか? 『希望の国のエクソダス』で提示された問題を現在に当てはめて考察する

10月1日、安倍首相は消費税を現行の5%から8%へと引き上げることを正式に発表しました。これについては、各方面から、様々な疑問符が投げかけられています。 一方、それに先立って、9月27日、9月のCPI(消費者物価指数)が発表され、これが前年…

業種別騰落率から見るアベノミクス相場の舞台裏 〜株高の最大の要因は中国とヨーロッパの回復による世界市況の好転である〜

先日、CSで放送されている有料の金融番組「アクロス・ザ・マーケット」において、注目の数字が紹介されていました。それは、アベノミクス相場と呼ばれた昨年11月15日以降の株高について、その真の要因を物語るものです。 TOPIX(東証株価指数)と…

アメリカの経済・財政は、とてもじゃないけど大規模な軍事作戦に耐えられるレベルではない

米英仏によるシリアへの軍事作戦の開始が、いよいよ始まろうとしています。しかし、アメリカにとって、軍事作戦の長期化は、何としても避けたいところです。というのも、経済・財政、いずれも、もたないからです。 アメリカ時間で8月27日、ケリー国務長官…

中国李克強首相の改革・夏の陣②

李克強首相による改革は、とどまるところを知りません。しかも、その改革の実行過程は、非常に緻密に計算された戦略的なものであり、複雑です。 8月16日、中国政府は、2011年に起きた高速鉄道事故以来ストップをかけていた、高速鉄道の入札を再開しま…

中国李克強首相の改革・夏の陣①

非効率で不良債権の温床となりつつあった不動産事業について、この利権に切り込むべく、圧倒的な手腕によってシャドーバンキング(影の銀行)を潰すための作戦の第一弾を実行した李克強首相ですが、彼の改革は、7月に入って、日を追うごとに益々加速しまし…

アメリカは現在どうなっているのか? FRBの金融政策から、アメリカ経済のいまを読み解く

先月、アメリカではデトロイトが破産申請をしました。しかし、アメリカの地方自治体において、財政が逼迫しているところはデトロイトの他にも数多くあり、場合によっては、今後地方自治体の連鎖破綻が起きる可能性さえ指摘されています。 その一方で、アメリ…

利権と戦い改革を進める中国の李克強首相、その絶妙な手腕と戦略について 〜シャドーバンキング(影の銀行)をめぐる攻防

これまでの輸出主導の経済から内需主導の経済への転換を目指す中国は、いま大きな変化のなかにあるわけですが、目下、中国の新政権が何よりも力を注いで改革を進めているのが、不動産・銀行の分野です。 中国の不動産市場は、2010年頃から俄かに過熱し始…

益々連携を深める中国とアメリカ 〜中国とアメリカの“両家”は婚姻関係にあり、離婚などありえない〜

ワシントンでは、7月10日と11日の2日間に渡り、中国とアメリカによる戦略・経済対話が開かれました。それにしても、3月に中国で新指導部が発足して以降、中米両国は益々急接近し、その連携を深めています。 その経緯を振り返ってみますと、まず3月半…

日銀が行っている金融緩和は、将来において地方銀行の連鎖破綻という危機を招く恐れがある

4月4日、黒田新体制の日銀は、いわゆる「異次元の緩和策」と呼ばれる大規模な金融緩和をスタートさせ、これにより、かつてないほど大量の国債を購入することになりました。これは、本来なら市場に委ねるべき国債の価格について、中央銀行がこれを意図的に…

貿易の面から、日本国内の雇用創出に最も貢献している国は、中国がダントツの1位である

かつて日本にとって最大の貿易相手国はアメリカでしたが、しかしそれもいまは昔の話であり、ここ数年、日本にとって最大の貿易相手国は中国です。 ところが、この問題について、経済学者や金融アナリストなどの紋切型同盟は、まったく事態を正確に把握してい…

朝日新聞の経済に関する記事は、原発の報道以上にひどすぎる 〜日銀短観の記事を例にして〜

昨日7月1日、日銀は恒例の日銀短観を発表しました。これは3ヶ月に1度行われ、実に1万社以上を対象に景況感を調査したもので、そこから出てくるデータは極めて信頼度が高いと世界的にも高く評価されているものです。なお、これは通称DIとも呼ばれてい…

いったい何をもって景気が良い、あるいは悪い、と判断するのか? 中国の経済指標から

中国経済はいま、大きな転換期に差し掛かっています。おそらく、訒小平による改革以来となる、非常に大きな変化のなかにあります。それは、これまでのような輸出主導の成長モデルではなく、内需主導の成長モデルへの移行であり、また環境に配慮した持続可能…

アメリカ国債の下落は歯止めがかからず、そしてCTAの運用成績はドン底に沈みつつあり、それにより世界金融市場が大混乱している

6月24日、ニューヨーク・ダウはまたしても下落し、ついに2か月振りの安値まで落ち込みました。一方、ヨーロッパはもっとひどく、イギリス、フランス、ドイツの株価は、ついに年初来安値近辺まで下落してきました。日本株の下落は、週間ベースではついに…

膨らみ続ける日本の貿易赤字は、スマートフォンの輸入の急速な拡大が最大の原因である 〜10・0%増えた輸入のうち化石燃料の増加は僅か2・7%に過ぎず、一方スマホなど通信機の輸入は58・6%も増えた〜

6月19日、財務省から、5月の貿易統計が発表され、9939億円の赤字となりました。この赤字は、5月としては過去最大のものです。円安などを背景に、輸出は非常に伸びたのですけど、しかし輸入もまた増えたために、このような巨額の赤字を計上すること…

日本を含む世界同時株安の正体は、CTAバブルの崩壊が原因

日経平均株価は、相変わらず木曜日に大幅下落となっていますが、しかし何度もお伝えしてきたように、5月下旬以降株価が急速に下落してきたのは、日本だけではないのです。 香港、シンガポール、台湾、韓国、タイ、インドネシア、フィリピン・・・、いずれも…

中国本土への違法な投資資金流入の実態がついに判明! そして問題は人民元の自由化のことへ

中国財政部が毎月発表する貿易統計については、以前から数字を水増ししているのではないか、という疑惑があり、一方で、この水増しは政府がやっていることではなく、国外から中国本土への違法な投資資金が、輸出を装って入ってきているもので、中国当局もこ…

資産規模で世界最大の投資ファンドであるGPIF(日本の年金基金)が、外債・外国株への投資拡大を発表したことについて

6月7日、日経平均株価は午後に入ってもジリジリと値を下げ、1万2500円台まで下落した午後1時30分頃、先物で突如物凄い規模の買いが入り、そこからたった3分後には、一気に1万2800円台まで値を戻しました。こんなの見たことない! という感じ…

ユニクロと東電、この2つが投機筋その他から徹底的に狙われての日経平均大幅下落

株価の下落が止まりません。しかし、それは何も日本だけに限ったことではなく、つい先日お伝えしたように、5月下旬以降というもの、アジア市場のほぼ全般に渡って、株価が強烈に下落しているわけです。一方で、先週僕は、近いうちニューヨーク・ダウも大き…

ここ最近、アジアの株式市場は全面安の展開 〜ファンダメンタルズには何も変化がないのに〜

5月下旬になって、アジアの株式市場は、総じて全面安の展開になっています。とにかく各国で株価の下落が止まらず、それは6月に入っても依然変わりがありません。ここ最近、日本では日経平均株価の急落が話題となっていますが、しかし株価が急激に下落して…

先週に続きまたも木曜に株価が大幅下落した、5月30日東京市場の取引の詳細 〜ちなみに、今回は更に複雑です〜

先週木曜、東京市場は1日に1000円以上下落するという波乱の相場展開となったわけですが、今週またしても木曜は波乱となり、たった1日で738円、パーセンテージにすると、5・15%下落しました。今回は、その詳細についてお伝えします。 ただ、先に…

近いうちニューヨーク・ダウが大きく下落する可能性について 〜ダウは毎年、この時期必ず1000ドル以上、下落している〜

先週、日経平均株価は1日に1000円以上下落し、更に今週に入っても月曜に400円以上下落するなど、ここに来て明らかに調整局面に入っています。但し、この下落は、本来なら、2月の途中から3月末にかけて下落する筈のものでした。 というのも、以前に…

東京の株式市場が大混乱した5月23日と24日の取引についての詳細

5月23日木曜、東京証券取引所では、日経平均株価が、1日で1143円も値を下げ、翌24日の取引でも、1日の値動きは1000円を超える荒っぽい展開となりました。今回は、これについての詳細をご報告します。 急激な下落を含むジェットコースターのよ…

この1週間、東証1部では太陽光関連の株価が物凄く上昇した

5月15日水曜から21日火曜にかけての1週間、東証1部における太陽光関連銘柄の株価上昇は凄いものがありました。その発火点となったのが、14日に発表されたサニックスの決算です。 サニックスという会社は、1975年に建築物等の防虫・防腐に関する…

日本の政治なんて良くても悪くてもどっちでもいい、アベノミクスに期待するか? いいえ、そんなもんに一喜一憂してちゃ仕事にならない 〜信越化学会長の言葉です〜

昨日、CSの投資家向け番組「アクロス・ザ・マーケット」に、信越化学工業の金川千尋会長が出演し、決算や今後の戦略についてインタビューが行われました。信越化学は、塩化ビニールと、それから半導体のシリコンウエハで世界シェアの首位を誇り、世界経済…

中国の新政権は、成長を追うよりも公正・公平な市場形成を目指している 〜深センの創業版指数とIPOの問題から〜

TSチャイナ・リサーチの田代尚機さんは、日本で最も中国経済に詳しいと言っても過言ではないほど、中国の事情に精通している方です。その田代さんは5月15日、CS「アクロス・ザ・マーケット」の「ASIAマネー」に出演し、好調な中国の株価指数のな…

中国政府の経済政策はとても上手く行っている 〜4月分の経済統計から〜

5月13日、この日は、中国の4月の小売売上が発表されました。この数字について、日本のメディアや金融アナリストなどの間では、大変に奇妙なことが言われています。 というのも、前年同月比から12・8%の増加という順調な伸びを見せたにも拘わらず、何…

ついに1ドル100円を突破した為替について 〜ドル円の動きは香港・深センの株価(つまり中国株)の動きとそっくりである〜

日本時間で5月10日の午前3時頃、円はついに対ドルで100円を突破しました。しかし、単に100円の大台に乗っただけではなく、東京市場の取引が始まると、円は更に下落し、一気に101円台の後半に突入したのです。 4月4日に日銀が金融緩和策を発表…

4月半ばに起きた金価格の歴史的暴落から、ある程度時間が経って解ったこと

金(ゴールド)というのは、いまもって安全資産の代表であると同時に、宝飾品の素材として、更には各種産業用の部品にも使われるものですが、4月半ば、この金価格は歴史的な暴落をしました。 それまで金相場は、概ね1オンス1700ドルから1520ドルと…

トヨタの決算について、メディアや金融アナリストの報道・解説に騙されないために

昨日5月8日、日本最大の輸出企業であるトヨタが、2013年3月期の決算発表を行いました。このトヨタの決算については、各メディアでもかなり大々的に報道されたようなので、皆さんもその大まかな内容はご存知かと思います。他の様々な企業の例にもれず…

皮肉なことに、アメリカ経済の低迷が円安ドル高を招きつつある

アメリカ商務省が5月2日に発表した3月の貿易統計によると、アメリカの貿易赤字は前月比11%減の388億ドルと、2010年1月以降で2番目に低い水準となりました。一見すると、この数字は、アメリカ経済の回復を示すものと受け取られがちですが、実…