日本株に対する投機筋の攻撃は益々激化、下落銘柄の数は歴代最多を更新する信じられない全面安

昨日、日経平均株価は、610円安という今年最大の下落となり、終値は1万4008円、かろうじて1万4000円台を保ったというところです。一方で、先物の方はもっと売られ、640円安の1万3920円となり、こちらは節目の1万4000円台をついに割り込みました。

一方で、東証一部における下落銘柄の割合は、歴代最多を更新しました。昨日、東証1部全体で上昇したのはたった13銘柄のみで、下落銘柄は実に1764銘柄を数えます。先週月曜に、リーマンショックやユーロ危機をも上回るレコードを記録したわけですが、昨日は更にそれを更新したことになります。

ところで、株価の水準を見定めるにはいくつかテクニカル指標があって、そのうちの1つに、200日移動平均からの乖離率というのがあります。これは、過去200営業日の全株価の平均値を算出し、現在の株価がこの平均値からどれだけ上昇しているか、あるいは下落しているかという乖離を示すものです。実はアベノミクス相場と呼ばれるものが始まった2012年11月以降、日経平均は過去に一度も200日移動平均を下回ったことがなく、常に200日移動平均より上の水準であったのですが、しかし昨日、アベノミクス相場が始まって以来初めて、ついにこの200日移動平均を割り込みました。

いったい、ここまで派手に下落する経済的要因が何かあるのか? というのが問題ですが、相変わらず、そのような要因はないのです。確かにトルコやインドといった一部の新興国は経済が減速していますが、しかし昨日、トルコの通貨リラはドルに対して久々に上昇し、またインドの株価指数も上昇したのです。にも拘らず、東京市場はレコード更新の全面安となったのです。これはどう考えてもおかしいと言わざるを得ません。経済要因では、とても説明のつかないほどの全面安です。

東証一部の売買代金は実に3兆6314円となりました。これは今年最大であり、それほどに巨大な売りが発生したことになります。

では、ここからは具体的に見ていきましょう。まずは業種別騰落率からです。言うまでもなく、33の全業種が下落したのですが、特に下落幅の大きかったのは以下の業種です。

非鉄金属   −7・20%
2機械     −6・29%
3ゴム     −6・15%
4鉄鋼     −6・12%
5建設     −6・09%

あえて言うなら、インフラ・設備投資関連にまつわる業種が多いという印象ですが、しかしそれがすべてでもありません。

さて、次に個別株ですが、これも明らかに常軌を逸した状態になっています。以下は、昨日の売買代金の上位3銘柄です。

ソフトバンク   3457億円
トヨタ      1003億円
3みずほ       806億円

1位がソフトバンクということ自体は、とりたてて珍しくありません。問題は、その代金です。ソフトバンクたった1銘柄で実に3457億円も集めているのです。これはいくらなんでも資金が集中し過ぎであり、どうかしていると言わざるを得ないのですが、その一方で、論理的には、この日ソフトバンクが異常なほど資金を集めた理由は説明がつきます。

というのも、昨日は東証1部上場およそ1800銘柄のなかで上昇したのはたった13銘柄に過ぎず、99%が下落という相場にあって、ソフトバンクは数少ない上昇銘柄の1つなのです。トヨタやみずほをはじめ、時価総額の大きな主力株は軒並み下落なのですが、そんななか、主力のなかではただソフトバンクだけが上昇したのです。それも、微増でなく、「2・08%」というしっかりした上昇です。

その一方で、何故ソフトバンクだけがしっかり上昇したのか、その理由はまったく解っていません。なんだか訳が解らないけど、ソフトバンクだけは上昇した、というのが偽らざるところです。

とにかく昨日は、訳が解らないまま、手当たり次第なんてもかんでもメチャクチャに売られた、という感じなのですが、そんななか、ソフトバンクだけは訳が解らず異様なまでに大量の資金を集めて上昇した、ということになります。

さて、最後になりますが、昨日は取引間終了後、トヨタパナソニック、日立という、まさに日本を代表する企業の決算発表があったのですが、いずれも、過去最高益を更新、ないしは通期での過去最高益更新が確実、という好決算でした。

日立に関しては、昨年の10−12月期は、国内の稼働原発ゼロ、新規原発建設ゼロ、外国の原発受注ゼロ、という原発ゼロ尽くめであったものの、しかしそんなことは関係なく、10−12月期の純利益は945億円となり、過去最高益をあっさり更新です。企業にとって原発は多大なリスクを伴う以上、業績面から見ても、日立は明らかに原発はやめるべきです。

ところで、過去最高益更新というのはなにもこの3社に限ったことではなく、輸出関連企業のなかにはいくらでもあるのです。それぐらい、好決算が続出しているにも拘らず、投機筋による猛烈な売りがとどまるところを知らないのが、現在の東京市場です。