この1週間、東証1部では太陽光関連の株価が物凄く上昇した

 5月15日水曜から21日火曜にかけての1週間、東証1部における太陽光関連銘柄の株価上昇は凄いものがありました。その発火点となったのが、14日に発表されたサニックスの決算です。

 サニックスという会社は、1975年に建築物等の防虫・防腐に関する管理及び工事を目的として長崎県佐世保市で創業したところなのですが、その後、水処理や廃棄物のリサイクルを手掛けるなど、総合的なエコ・カンパニーの道を進むようになります。

 更に、2010年12月になると、太陽電池モジュールの製造・販売を主たる目的として、善日(上海)能源科技有限公司を中国上海市に設立し、2012年1月には、公共・産業用太陽光発電システム等の、企画、設計、販売、施工及びコンサルティングを主たる目的として、株式会社サニックスエンジニアリングを設立します。

 このような歩みを経てきたサニックスが、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入に伴い、この分野の事業に注力することは、至極当然と言えるでしょう。2012年7月、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートすると、サニックスは、満を持して参加します。

 そして、ビジネス面において、その最初の成果が明らかになったのが、先週14日に発表された2013年3月期の決算です。その内容は、実に驚くべきものでした。営業利益は、前期の4億0900万円から、18億7000万円となり、356・4%のプラス。経常利益は、3億4700円から、17億8800となり、414・1%のプラス。当期純利益も、1300万円から、15億7500万円へと、とにかくとてつもないプラスとなったのです。

 2013年3月期の決算については、主に輸出企業を中心にV字回復をしていまして、30%、40%のプラスというところが珍しくないわけですが、サニックスの場合、桁が1つ違っており、300%超、400%超の物凄いプラスとなっているわけです。

 具体的にどういうことだったのか、サニックスは決算報告書のなかで、次のように言っています。

 「当連結会計年度における売上高は、産業用PV事業部門においては、当第4四半期連結累計期間に本格的に施工を開始した「産業用太陽光発電システム」が新たに売上に加わり、前年同期比581.6%増となりました」。

 「産業用PV事業部門は、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」の開始を受け、「産業用太陽光発電システム」の需要喚起の為に広告宣伝費を投入するとともに、販売並びに施工体制を整備することにより、黒字化、増益となりました」。

 そして、次期、つまり2014年の業績見通しですが、これについては、今期を更に上回る物凄い伸びが想定されています。以下は、サニックスが決算と共に出してきた次期の業績の見通しです。

 営業利益は、18億7000万円から、80億円へと、327・7%のプラス。経常利益は、17億8800億円から、79億5000万円へと、344・4%のプラス。そして純利益も、15億7500万円から、51億円へと、223・8%のプラス。

 ちなみに、これ、伸び率そのものは今期から若干縮小していますけど、しかしこれは企業の成長に伴い、分母そのものが大きくなっていることによるもので、実際のところ、事業そのものの拡大は更に加速するわけです。たとえば、経常利益の推移を例にとると、次のようになります。
  
  2012年3月期  2013年3月期  2014年3月期(見込み)
  3億4700万   17億8800万   79億5000万
 
 という訳で、経常利益を例にとるならば、サニックスは、たった2年間で、一気に25倍以上増える計算になるわけです。これは、とんでもない成長というものです。

 ちなみに、この2014年3月期の見通しについて、サニックスは、次のように語っています。

 「当社グループを取り巻く経済環境は回復が期待されます。また「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は平成25年4月より買取単価が改定(10kw以上は42円から37.8円に)されたものの、制度は継続となるため、当社グループとして積極的に事業を展開できる環境にあり、売電事業とともにグリーンエネルギー事業を大きく飛躍させる好機到来と捉えております」。

 「産業用PV事業部門においては、産業用太陽光発電の買取価格引き下げにより施主の投資回収期間が不利にならないよう、モジュール等部材のコスト低減や施工性の改善を進めてまいります。また本格的に営業展開することにより、当社グループの主力事業部門として大幅な増収を見込んでおります」。

 さて、このように凄い決算と次期の見通しが出てきた以上、株価が上がらない方がおかしいというものでしょう。この決算発表があった翌日の水曜、更に金曜と、サニックスの株価は立て続けにストップ高水準まで上昇しました。

 そしてこの勢いは週が明けても変わらず、週明け初日の月曜、サニックスの株価は実に27・57%も上昇し、またしてもストップ高となったのです。

 但し、この週明けの株価急騰については、別の要因も働きました。それは、ゴールドマン・サックスの動向です。まだ日付が変わって間もない月曜の深夜2時、日経新聞電子版に、アメリカの金融大手ゴールドマン・サックスが、日本で再生可能エネルギーに3000億円もの巨額の投資をするという記事が載ったのです。

 しかも、驚くべきことに、このためにゴールドマン・サックスは、わざわざ再生可能エネルギー事業の運営会社、ジャパン・リニューアブル・エナジーというのを全額出資で設立し、株式の上場まで検討しているようなので、相当に本気度の高いことが窺えます。

 月曜のサニックスストップ高が、このゴールドマン・サックスの動向を受けてのものでもあったことは間違いないでしょう。実際、この日は、サニックスの他にも、トクヤマというこれまた太陽光関連の企業の株価が16・83%も上昇しました。

 そして翌日の火曜になると、更に別の太陽光関連銘柄、三晃金属の株価が33・47%上昇し、上昇率で東証1部全体の第2位に、また同じく太陽光関連で高島の株価も25・39%上昇し、東証1部全体の4位にランクインしました。他にも、古河電池といった、蓄電池の製造を行っている企業の株価まで大幅に上昇したのです。

 とにかく、アメリカにおいて原発廃炉が次々に決まっているように、いまや世界的に原発が時代遅れのビジネスであることは明らかで、今後は、太陽光をはじめとした再生可能エネルギーの時代になることは間違いありません。そうである以上、日本の政治に対しては、現在の固定価格買い取り制度にある不備を是正しつつ、再生可能エネルギーのより一層の普及を促す政策を求める次第です。