中国経済について、シンガポールで言われていることは、日本で言われていることとはまったく逆!

 昨日、中国の経済指標について、重要なものの1つが発表されました。サービス業のPMI、つまりサービス業の景況感指数です。その主な内容は、以下の通りです。

                    3月    2月
  HSBC発表値        54・3  (52・1)
  中国国家統計局発表値  55・6  (54・6)

 HSBCと国家統計局では、基準となるデータが違うので数字自体は若干異なるものの、しかし、参考値である2月からは、大きく上昇している点では同様です。このように、中国は生産活動のみならず、サービス業も大きく上昇しています。

 この発表を受けて、有料金融メディアであるCNBCアジアの「ワールドワイド・エクスチェンジ」では、ロンドンのスタジオとシンガポールを繋いで、中国経済の現状についての分析が行われました。シンガポールから番組に出演し、ロンドンのキャスターの質問に答えたのは、HSBCのリーフ・エクスセン氏という方なのですが、以下は、その主なやり取りの抜粋です。

 Q、中国のサービス・セクターは拡大しているようです。このような強い回復の要因は何なのですか?

 A、サービス業、製造業ともに、昨年以来の政策に支えられて改善が進んでいます。

 Q、中国とインド、我々ヨーロッパの人間は、どちらを重要視すればいいのでしょうか?

 A、もちろん中国です。中国はグローバル経済のなかで非常に重要であり、中国のデータにはもっと注意を払う必要があります。ヨーロッパの輸出、アメリカの輸出にもかなり影響するものです。中国からは非常に良いサインが出ている、中国の政策には、広いところで支えられています。

 Q、新興国の市場は、成長という点で失望を招いているところもありますが、中国は違いますね。中国を他の新興国と分ける必要があるのでしょうか? とりわけ、BRIC’sのなかから、中国は除いた方が良いのではないでしょうか? 何故中国だけがこんなにも良いのでしょう?

 という訳です。とりわけ、最後の質問は極めて重要です。というのも、日本では、新興諸国は順調に成長しているけれど、そのなかで中国だけがやたらに出遅れている、とか、中国経済はいまもって非常に危ない、など、とにかくそういう報道や解説ばかりが横行しているわけですが、ここで言われていることは、そのまったく逆なのです。「何故中国だけがこんなにも良いのでしょう?」、「中国を他の新興国と分ける必要があるのでしょうか?」、このような議論を、彼らは本気で行っているのです。

 ちなみに、これまで何度となく申し上げて来たように、欧米の株高も、日本の株高も、最大の原因は、ここにあるんです。とにかく、13億人を擁する巨大な経済社会、いまやアメリカを追いぬき世界一の貿易大国となった中国の実体経済について、「何故中国だけがこんなにも良いのでしょう?」というぐらい良くなっていることが、先進諸国の株高の最大の要因なのです。

 そして、中国の実体経済が非常に力強いものであり、その成長は今後更に拡大していくということは、欧米の投資家たちはみんな知っているのです。CNBCという金融の世界では非常に有名な、そしてもちろん英語の番組が、ロンドンのスタジオとシンガポールを繋いで報道しているわけで、だから中国経済のこのような力強さは、世界中の投資家の知るところです。

 以前僕は、香港のファンドマネージャーやアナリストたちが、中国市場の今後の見通しについてとにかく強気一辺倒であるとお伝えしましたが、そのことも、もちろん世界中の投資家が知っています。知らないのは、日本人ぐらいのものです。

 とにかく、世界中の投資家が知っていて当たり前のことが、日本ではまったく報道されず、世界の常識とはまるで逆のことが言われているのです。そうして、中国経済は駄目だ、日本が頼るべきはアメリカだ、などというとんでもないデタラメが横行しているのです。

 原発報道について、もちろん今でも嘘が横行していますが、しかしそれでも福島であれだけの事故があったので、大手メディアの方でも、さすがに3・11以前のような嘘は付けなくなっています。その一方で、中国経済については、大嘘が横行しています。いまや、日本のメディアにおける最大の嘘は、中国に関するものです。よいですか皆さん、大手メディアが報道する中国のことは、基本的に全部嘘だと思ってください。そうではないと、騙されます。大手メディアや有力経済学者、金融アナリストによる中国経済の報道や解説は、基本的に全部嘘であり、ごく稀に真実がある、ぐらいのスタンスがちょうどよいでしょう。

 という訳で、これも以前から何度も言ってきていることですが、アベノミクスによる株高というのも、嘘なんです。中国経済の上昇について、自民党の政策がいったい何の関係があるというのでしょう? あるわけないのです。自民党は、中国経済が最大の要因で起こっている株高を、あたかも自分たちの政策によるものだと吹聴し、そうして手柄を横取りしようとしているのです。

 これは断言しますが、今年7月の参院選自民党が大敗しても、8月に行われる大手輸出企業の決算発表において、株価は確実に上昇します。秋には、それ以上に大きく上昇するでしょう。そしてもちろん、香港上場の中国株も、その頃には、飛躍的に上昇しています。だから僕は、この中国経済の拡大を利用して、福島や祝島への支援を行うことが出来ると提言しているのです。

 *付録

 以下は、中国株の今後の展望に関する、ロイターの記事です。香港やシンガポールの人々ほど本質には踏み込んでいないものの、それでも中国経済の今後の見通しについて、参考になると思います。

 http://jp.reuters.com/article/jp_financial/idJPTYE93203K20130403