都知事選・脱原発相場の主役に躍り出たエナリス、売買代金はトヨタやソフトバンクをも上回り堂々の全体1位

株式市場において、細川元首相の都知事選出馬による脱原発銘柄への物色は、益々活況を呈しており、短期的なもので終わらず、今後も持続していくであろうことはもはやはっきりしつつあります。その主力はやはりマザーズジャスダックベンチャー、そして東証1部でも時価総額の小さい小型株が中心なのですが、更に新たな視点も導入し、より多角的に見ていきたいと思います。今回対象とするのは、1月17日金曜日の相場です。

まずは、以下がその主な脱原発関連銘柄の上昇率です。

省電舎       18・91%
ファーストテスコ  16・84%
エナリス       4・93%
グリムス      27・27%
岩谷産業      12・71%
加工機        8・89%
アジア投資      8・62%

このなかでも、特に注目すべきは、前回同様エナリスです。株価上昇率だけで見るならこのなかで一番低いのに、それがなんで最大の注目なのか? エナリスが凄いのは売買代金でして、マザーズ市場に上場しているこのベンチャー企業は、その売買代金においてついにソフトバンクをも上回り、なんと東京市場における全体1位に躍り出たのです。それも、ソフトバンクの代金が666億円であるのに対し、エナリスは実に927億円にのぼるわけで、これはぶっちぎりの1位です。

これだけの金額が売買されて、そのうえ株価の上昇率が10%を超えようものなら、もはや怪物的な銘柄と言ってよく、もちろんさすがにそこまでは行っていませんが、しかしエナリスというマザーズ上場のベンチャー企業ソフトバンクトヨタといった並み居る大企業を根こそぎ追い越して、売買代金で堂々1位というのは驚異的であり、まさに細川・小泉効果以外のなにものでもありません。

このエナリスについては、後程更に詳しく紹介したいと思います。

そしてまた、エナリス以外にも、省電舎やファーストテスコをはじめとする各銘柄の上昇率は目覚ましく、まさに再生可能エネルギーや省エネなど、脱原発銘柄が華やいでいる状況です。

言うまでもないことですが、まだ都知事選は公示前なのです。にも拘わらず、連日これだけ脱原発関連銘柄が活況を呈している以上、実際に選挙が公示され、選挙戦がスタートし、各種世論調査などによって細川氏の優勢が報道されるようならば、この脱原発相場はそこから更にターボがかかって来る筈です。

これに関連して重要なのが、今年から始まったNISAと呼ばれる小額投資非課税制度です。投資額100万円までなら株式の売却益などの税金が免除されるこのNISAは、去年の時点において既に相当の口座が開設されていて、今後株式市場には、このNISA口座を活用した新規の投資マネーの流入が確実視されています。

証券会社の方によると、新たに口座を開設した新規の個人投資家は、まだその殆どが株式を購入しておらず、市場の状況を観察している状態です。彼ら新しい投資家の資金がどの銘柄に向かうのか? それはまさに今年の株式市場の大きなテーマであったわけですが、そこに突如として現れたのが、脱原発をメインに掲げる細川・小泉連合というわけです。

証券会社の営業担当者からすれば、「細川都知事誕生によって日本のエネルギー政策が一気に脱原発へと傾く可能性がありますから、もし脱原発が実現するなら、環境関連ベンチャーの株価は長期に渡って上昇するでしょう」というのは恰好の営業ネタになるわけで、おりしも食品などを中心に物価も上昇してきたところですし、なので新規の個人投資家も、インフレ対策として脱原発銘柄で利益を生もうという狙いから、都知事選に合わせてこれら脱原発関連株が更に上昇する可能性が出てきます。そうなると事態が逆転して、都知事選の結果が出る前に、まず株式市場の方から脱原発の気運が高まり、それが都知事選の投票行動に影響を与える、というプロセスも考えられる次第で、今後の動向が益々注目となってきます。

一方で、東証1部の主力株においても、これまでとは違う傾向が出ています。売買代金で見た場合、1位はソフトバンクで、3位がトヨタと、このあたりは毎度お決まりなのですが、目立ったのが、2位のシャープと、4位の三菱自動車です。

とりわけ市場の驚きを誘ったのは三菱自動車です。三菱自動車の株がここまで大きな金額を集めて取引されるというのは極めて珍しいことなのですが、しかし単に金額が大きいだけでなく、三菱自動車は株価の上昇率も凄くて、連日に渡り大変な活況なのです。この日の上昇率は10・06%と、ついに2桁の大台に乗ったほどです。

いったい三菱自動車がここに来てなんで突然こんなにも活況を呈しているかというと、市場において言われているのが、この企業は昨年秋の半期末の決算において過去最高益を更新したにもかかわらず、PER(株価収益率)が大変に低くて驚くほど割安であり、この割安感から買われた、というのがその説明なのですが、しかし先週に入って特段材料なるニュースもなかったのに、それが何故いまになって突然こんなにも買われているのか? というのはかなり謎なのです。

そうなると、基本に立ち返るというのが王道です。三菱自動車というのは、ご存知の通りかつてリコール問題などで倒産の危機に陥った企業ですが、しかしつい2年ほど前、超低燃費を可能にした新型ミラージュを投入して一躍復活しまして、更にここに来てプラグインハイブリッドへの大型投資を行う予定でいます。

一般には知られていないかもしれませんが、日本のメーカーにおいて、プラグインハイブリッドへの意欲の高さでは三菱自動車が一番なのです。要するに三菱自動車というのは、倒産一歩手前の地獄を見たところから這い上がり、そしてエコカーに特化することで一気に業績を拡大しようとしている企業なのです。

一方のシャープはというと、この企業は、まさにちょうど一年前、倒産の危機にあったところです。いつ潰れてもおかしくない、それが一年前のシャープだったのですが、そのシャープが見事に不死鳥のごとく復活してきたのです。シャープ復活の最大の原因は、圧倒的な省エネを可能にするIGZOという液晶です。IGZOの省エネ性能は他のメーカーと較べても突き抜けたものがあり、アップルなど世界のトップ企業が次々に採用しています。

そしてこの最新液晶の次に来るのが、太陽光パネルです。IGZOはシャープに大きな黒字をもたらしていますが、シャープは太陽光パネル事業も順調で、着実に黒字を稼いでえいます。

つまり、三菱自動車とシャープは、いつ倒産してもおかしくないところから自力で這い上がり、そうして世界屈指の環境技術をもって再び羽ばたこうとしているわけです。

ジャスダックマザーズ脱原発関連ベンチャーにしても、三菱自動車やシャープにしても、このような企業の株が買われるというのは株式市場にとっては大変良いことです。そうである以上、株式市場としては、細川・小泉氏に対し、脱原発だけでなく、プラグインハイブリッドや電気自動車の普及なども含め、総合的な低炭素社会を目指すべく、環境技術を最優先にした産業の再編まで視野に入れた、大胆な政策の展開を期待したいところです。

そして、株式市場において圧倒的な注目を集める銘柄こそエナリスであるわけですが、このエナリスとはどのような企業なのか?

エナリスは新しい企業であり、マザーズ市場に株式を上昇したのは、去年の10月のことです。つまり、上場してからまだたったの3か月しか経っていないわけで、にも拘らず、そのような新興企業が、東証1部上場のトヨタソフトバンクといった世界的な大企業を押しのけ、売買代金で全体1位になるというのは、非常に異例です。

では、そのエナリスとは、具体的にはどのような事業を行っているのでしょうか? エナリスのホームページには、次のようにあります。

「当社は、エネルギーの効率的利用をテーマに、需給管理を核として電力取引、エネルギーマネジメントや電力流通情報等のサービスを提供しています。また気象予報士による需要及び発電量の予測を行っています」。

「ユーザーの電力利用や購入方法改善パートナーとして、エネルギーマネジメントシステムの提供や、需要家PPS、再生エネルギーの地産地消型PPSの業務代行を行っています。また、需給管理=スケジュール管理の観点から、音声操作スケジューラーESQORTを展開、新しいライフスタイルを提供いたします」。

エナリスグループは、電力自由化に伴って生じる新しいサービスや電力購入・販売方法を研究し、電力事業者向けのコンサルティングサービスやシステム企画・構築、電力購入コンサルティングや仲介、斡旋を目的として、これらに付随したサービスの提供を目的として設立されました」。

「2007年以来、特定規模電気事業者(PPS)業務代行のパイオニアとして、電力事業代行、コンサルティングなどの 電力・エネルギー・環境に関連する事業、エンジニアリング事業、さらには再生可能エネルギー予測、スマートコミュニティ構想など数多くのプロジェクトを推進しています」。

このような事業を行っているエナリスですので、日本が脱原発電力自由化に舵を切るなら、まさにその恩恵を最大限に受けることは間違いありません。将来的に、非常に有望な企業といえます。

そしてまた、このような企業が他にもドンドン伸びていくなら、そのことによって、サステナブルな社会構築のための新しい産業のあり方を提示するモデルともなり、更に高校生や大学生など次代を担う人々にとっても、今後必要なスキルや知識とは何かという1つの指標にもなりえます。

そういう意味でも、エナリスに対する注目は増すばかりです。なお、以下が、エナリスのホーム―ページです。
http://www.eneres.co.jp/